不動産売買と権利の承継
不動産売買と権利の承継
1.不動産売買契約(本文)に当然含まれているもの
(1)土地・・・土地に「くっついているもの=定着物(建物を除く)」
及び「これらに従としてくっついているもの=従物(マンホールの蓋など)」
例)井戸、浄化槽などの設備
ただし、定着物が他人の所有物である場合は除きます(電柱、LPG倉庫など)。
また、定着物でも、その一部だけでも経済的な価値を持ち比較的容易に分離又は交換が可能なものは、売主がそのものを譲渡対象から分離することがあります(高価な庭石や池の鯉など)。
注)他人のための権利がついている(設定されている)場合は、その権利に対する負担も承継します。
①登記されているもの:地役権(電柱、電線などが上空又は付近上空を通過している場合など)
②合意書・覚書などがあるもの(越境物、通行権などがある場合)
③②で合意書などがない場合:その状況によっては地役権などを時効取得される場合があります。
(2)建物・・・建物の定着物(システムキッチン、集合郵便ポストなど)及び従物(畳、ふすま、扉など)
ただし、定着物が他人の所有物である場合は除きます。
また、定着物でも、その一部だけでも経済的な価値を持ち比較的容易に分離又は交換が可能なものは、売主がそのものを譲渡対象から分離することがあります(美術品・宝飾品、太陽光システム、LPG設備など)。
2.法律上又は契約上、当然には承継されないもの
(1)売主が売買の対象に含めないと明示したもの
契約上除外されているから承継されません。
売買契約の際には、事前に確認しておく事項です。
(2)売買契約の当事者(売主・買主)以外の者との契約によって設置されたもの
例えば、LPG設備、インターネット設備、CATV設備、水道、電気・電柱・配電盤などがあります。
①売主とその設備やサービスの提供者と契約がある(変更契約など必要) → 売買によって終了するのか買主との間で存続させるのかを取り決めておく必要があります。
②設備の権利者に所有者変更を連絡するだけ(電気、ガス、水道など)
③その他 → 個別に対応が必要で、売買当事者での取り決める必要があります。
(3)売買当事者以外の者に権利がある場合
→ 個別に対応が必要で、売買当事者での取り決める必要があります。
3.その他
土地、建物ではありませんが、賃貸物件の場合、管理会社、サブリース、賃料保証などの契約は原則として承継されないものとして考えたうえで、売買契約までに売買当事者間で調整しておくべきことです。